2017年7月31日月曜日

クリストファー・ノーラン新作「ダンケルク」感想



インセプションやインターステラーなどで有名なクリストファー・ノーラン監督の新作映画「ダンケルク」をいち早く、フランスで見てきました。実はすでに2週間前に上映が始まっており、上映期間終了ギリギリのかなり遅れての視聴となりました。まさか、自分が公開初日を逃すとは...。

ダンケルクは、第2次世界大戦でナチスの猛攻撃を受けるフランスから、イギリス、フランス、カナダ、ベルギーからなる連合国軍をダンケルク海岸から撤退させたダイナモ作戦を描いた映画です。

この映画では物語の舞台を陸・海・空に分け、それぞれの舞台で活躍する人々を同時的に描いた、いわゆる群像劇という形で構成されています。

フランスに取り残された、連合軍はダンケルク海岸から船での脱出を試みるのですが、海岸の周辺はナチス軍に包囲され、船で逃げても、水中のUボートによる魚雷、空からの空襲で撃沈され、逃げることができないという絶望的な状況での脱出劇が描かれます。

この映画は、これまでのインセプションやインターステラーと比べると、やはりファンタジーではないため、過去の作品ほど映像的な迫力は弱いと感じました。しかし、お馴染みハンス・ジマーが手掛けるBGMと各舞台のシーンの切り替えを細目に行うことで、緊迫した空気が作り上げられています。

<印象的だったシーン>
フランスの負傷兵たちが、イギリス兵に「俺たちも脱出したい」と詰め寄っているシーンで「English Only!!」といってイギリス兵がフランス兵を追い返しているシーンが印象に残りました。やっぱり、当時はイギリスとフランスは仲が悪かったんですね。

(若干ネタバレ) 
イギリス兵に紛れるためにイギリス兵の死体から服を奪って脱出しようとした若いフランスの兵士も描かれています。途中まで、全くしゃべらないので、周りからドイツ兵のスパイだと疑われるシーンがありますが、そこで、自分がフランス兵だということを明かします。しゃべるとフランス兵だとばれるからしゃべらなかったんですね。そこまでしないと生き残れない状況だったのです。

気が触れて、海岸から泳いでドーバー海峡を渡ろうとする兵士が海に飛び込む様を、主人公たちがただ黙って見つめてるシーンも印象的でした。もちろん、ドーバー海峡を泳いで渡ることは不可能なので、これはほとんど入水自殺なのですが、このシーンはダンケルクでの戦況が絶望的であることを象徴しています。

<言語について>
この映画ではイギリス兵、ベルギー・フランス兵、オランダの船員が登場します(ドイツ兵は登場せず)。心配していたのは、英語以外にドイツ語やフランス語で登場人物がしゃべったらどうしようという点でした。フランス兵がしゃべっているシーンもありましたが、簡単なフランス語だけだったので、何とかなりました。しかし、英語の聞き取りがやや難しかったです。軍人が使う用語などが多く、言葉を理解するのに苦労しました。

<最後に>
日本での公開は今年9月ですが、正直、日本人にはこの映画はあまりヒットしそうにはないです。やはり、テーマであるダンケルクの戦いというのが、日本人にはあまりメジャーではない気がするため、ノーラン監督のファンでないと見に行かないかもしれません。自分も、ノーラン監督のファンじゃなかったら、この映画は見ていなかったと思います。

あと、この映画ではセリフが少ないため、登場人物たちの状況を理解しにくいかもしれません。ある程度予めに歴史のお勉強をしていってから見るのをお勧めします。


0 件のコメント:

コメントを投稿